設備業界の「人的資本経営のトップランナー」へ。従業員応援プロジェクト「りぶえる」が拓く次世代の働き方

「この会社の従業員で良かった」

すべての従業員が心からそう思えることを目指して、大成温調株式会社では、2025年4月から、働くすべての従業員とその家族のライフイベントを応援するプロジェクト「LIVZONエールプロジェクト(通称:りぶえる)」を始動させました。

「建物に命を吹き込む、目に見えない技術」を売る建設業において、人は最大の財産。同プロジェクトでは、教育費の増額や家族との時間を大切にする制度の導入など、業界トップクラスの人的投資を推進しています。
この背景には、現場経験を豊富にもつ執行役員である人財統括部長・柏倉聖一氏の奮闘がありました。


「現場の声を形にすることで、従業員と会社が互いに高め合う組織に」
そう願う柏倉氏に、「りぶえる」を通じて目指す、温かく一体感のある組織づくりへの想いを語っていただきました。

「りぶえる」が目指す業界トップの人的投資

「りぶえる」の取り組みを牽引した柏倉聖一氏

当社は2025年4月から「LIVZONエールプロジェクト(通称:りぶえる)」を進めています。プロジェクトを通じて、従業員とその家族も含めて充実した生活を送れるよう、人的資本への投資を積極的に行っています。 

当社は設備業界で名の知れた企業ではないからこそ、「人的資本や福利厚生だけは業界のトップを走りたい」と考えており、現在もさまざまな改革を進めているところです。

当社の福利厚生は、「りぶえる」の考え方に基づき、従業員のご家族も支援対象に含んでいます。
建設業は、現場での休日出勤なども多く、どうしても家族に負担が生じてしまいます。だからこそ、仕事を離れ、家族と過ごす時間も大切にしてほしいのです。
その象徴が「サンクスファミリーホリデーウィーク」。普段はなかなか言えない家族への「ありがとう」を伝える時間を持てるよう、まとまった休暇を取得しやすい環境を整えています。

また、男性従業員に子どもが誕生した場合は、育休経験がない世代の管理職にも育休の意義を広め、理解を得られるようにしています。制度だけでなく「実際に休暇を取れる土壌」をつくることが、これからの会社の役割だと思っています。

また、従業員同士の交流の機会を増やすため、年間1人当たり2万円を支給する「コミュニケーション費」も福利厚生のひとつです。従業員に「長く働き続けたい」と思ってもらうには、社内での豊かな人間関係が必要です。
コミュニケ-ション費は、新年会や忘年会だけでなく、ランチ会に充てても構いません。直接的には業務に関係のない時間こそ、「この会社にいたい」という意識を育む大切な「栄養」になると信じています。

「コミュニケーション費」を活用して、事業企画統括部の懇親会を開催。
本社勤務の従業員と各拠点の従業員が参加した、部署横断型のランチ会。

昨年には、デフビーチバレーの選手の支援がスタートし、当社の仲間に加わりました。 デフリンピックの試合の時には、仕事中であっても従業員有志で応援に行きました。このような取り組みは、一見「りぶえる」とは関係ありません。しかし、仲間を想い、一体となって応援する中で縮まる距離感こそが、会社として大切にしたい「人的資本」や「多様性」のカギを握っているのではないかと思います。

ビーチバレーボール大会「LIVZONカップ」にて。出場選手や観戦にきた従業員、その家族とビーチクリーン活動を実施しました。

会社と従業員の「恩返しのループ」を目指して

福利厚生をはじめとする「りぶえる」の取り組みの成果を図る一つの指標として、「エンゲージメントサーベイ(意識調査)」を導入しています。以前のスコアは建設業全体の平均を下回っていました。しかし、各部門で上司と部下のコミュニケーションを徹底的に見直した結果、翌年には専門の調査会社に驚かれるほど、スコアが上昇しました。

さらに、回答率が9割を超えれば十分と言われる中、当社ではほぼ全ての社員(97.9%)が声を届けてくれたのです。これには驚かされました。高い回答率は、社員が会社に寄せる期待の高さだと受け取っています。

一方、従業員一人ひとりが「自分の声が反映されている」と実感できるまでには、時間を要します。だからこそ私はまず、現場に直接行くことを心がけています。支店まで足を運べば、その場所の雰囲気や、働く人たちのニーズが見えてくるものです。

社内報「ぺんぎん」3月発行号にて「りぶえる」を紹介

現在の「りぶえる」はまだまだ本社主導ではありますが、今後は支店でも浸透させていきたいと考えています。「遠い場所」ではなく「自分たちの場所」で起きていることとして感じられる取り組みを増やしていきたい。その地道な積み重ねこそが、会社の一体感を生み出すのだと信じています。

「従業員の声に応える」という、一見当たり前のことを愚直に続ければ、従業員も「今度は自分たちが会社のために頑張ろう」と思えるはずです。会社から従業員へ、従業員から会社へ。そんな「恩返し」のような相互関係を築きたいと考えています。

ひとりひとりの「学びたい」を叶える

今年の初めにようやく、経営目標に「採用」や「人的投資」を組み込むことができました。

「会社としてどういう姿でありたいか」を学生や従業員にも示すために、現在、人財企画のメンバーを中心に「ヒューマンキャピタルレポート(人的資本報告書)」の作成を進めています。これは、「人的資本に対する取組」を言語化(見える化)する取り組みです。

投資した年度にすぐに結果が表れるとは限らないことが人的資本経営の難しいところです。教育費や福利厚生への投資が結果として表れるのは、数年後かもしれません。
それでも当社は、昨年4月から教育費を従来の3倍に引き上げました。従業員が希望することや学びたいことに対し、「予算がないからダメだ」と切り捨てることは一切ありません。
事業に必要な専門資格の取得を会社として全面的に支援しています。

一般的に、人的資本経営は「堅苦しいもの」と思われているかもしれません。ですが、私たちは「皆で会社を良くしたい」という思いのもとで活動を続けているので「やらされている」とは一切感じていません。むしろ、活動について数時間でも話し続けられるくらい、楽しみながら取り組んでいます。こうした楽しさや熱量を従業員に伝えることができれば、会社はさらに良くなるはず。これからさらに情報発信に力を入れていきたいと思っています。

もちろん、数字として結果を出さなければならないプレッシャーは感じます。ですが、それ以上にこれからの会社の変化を楽しみにしています。

人事部の会議。議論が白熱し、長時間に及ぶことも。

技術を売ることは、人を育てること

当社は「物」ではなく、目に見えない「技術」を売っています。
技術は物と違い、長い時間をかけ、従業員一人ひとりが自らを磨き上げることでしか得ることができません。つまり、人がいなければ一歩も前に進めない。だからこそ、当社は、創業当初から「人は財産(人財)」との考え方をもとに、徹底して「人」を大切にしています。

2025年9月に開催したインターンシップ

私自身、現場で汗を流していた頃は、「人を大切にする」という姿勢を意識することはありませんでした。今になって、会社が人を「宝」として見てくれたおかげで、頑張ってくることができたのだと実感しています。

その一方で、時代の流れとともに、近年は従業員間の関係性が希薄になっていることも感じています。以前の当社はもっと家庭的で「泥臭い温かさ」がありました。

大成温調は「LIVZON」(未知の領域に絶えず挑戦し、人々の暮らしを豊かにしていく)というブランドを掲げています。これを実現するには、働く私たち自身が、一体感を持ってつながり続ける必要があると考えています。

各部署の代表が、新入社員に自部署の魅力を紹介

「制度」から「空気」へ。りぶえるが目指す最終形

「りぶえる」としては、昨年までにほぼすべての主要な制度を導入し終えました。今はそれらを維持・運営し、磨き上げるフェーズに立っています。
人財面だけでなく、他の部署が主導する施策も合わせて、一つの体験としてまとめたい。そうした「やりたいことリスト」はまだまだ山積みです。

最近は、労務面談のために全国の拠点を回る中で、従業員の変化を感じています。「りぶえる」という総称で人的資本が集約されたことで、会社の本気度を感じたのでしょう。若手社員から管理職まで、活動に興味を持ち、自発的に行動してくれる従業員が増えました。

よく「『りぶえる』の第2弾、第3弾は何をしますか?」と聞かれることがあります。もちろん新しい施策は準備しています。ただ私は、わざわざ「〇弾」と区別するのではなく、あらゆる取り組みが当然のように「りぶえる的精神」として根付くことを目指しています。

最終目標は、社内において「りぶえる」が「空気」のような存在になることです。わざわざ意識しなくても、そこにあるのが当たり前。その社風ができあがってはじめて、「りぶえる」の取り組みが成功を収めたと言えるのではないでしょうか。

一方で、「空気」のままでは外部には伝わりません。だからこそ、外に向けては明確に、情熱を持って発信し続けます。

諦めない心はチャンスを呼ぶ!

仕事をしていると、「もっとこうなればいいのに」と思うことはありますよね。私は現場で働いていた頃、自分の声がなかなかトップまで届かないことにもどかしさを感じていました。そうした思いや願望は「やりたいことリスト」として密かにメモしていました。

ところが、人財を統括する今の立場になってから、気づけばそのリストを書かなくなっていました。リストに書いていたことを実現することができたからです。

現在の若い方々も、「どうせ言っても無駄だ」と感じてしまうことがあるかもしれません。でも、そこで諦めないでほしい。その思いを頭の片隅にでも残しておけば、いつかそれを形にできるチャンスが必ず来ます。自分の経験した「やりたかったこと」を形にするプロセスは、本当に面白いものです。

LIVZONアワードにて、代表取締役・水谷憲一氏を囲んで撮影。次世代を担う若手社員に期待を込めて。

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