ベンチャー女優 寺田有希×ビジネス書出版社代表 小早川幸一郎

28年間、編集者として日本のビジネスパーソンが進化していくための書籍を作り続けている小早川氏。これまでのキャリアを振り返り、「自分の人生のシナリオは自分で書く」と話します。

時代の変化と、その流れがとても早い世の中。生きることの厳しさを感じている人はたくさんいます。自分の人生を自分の力で切り拓いていくためには、自分で学び、考え、自分の足で歩んでいかなければいけません。自分が望む未来に引っ張っていってくれるシナリオを書くためには、何が必要なのでしょうか。

※この記事は、2023年9月に行われた、寺田有希氏の「オンラインコミュニティ『STAGE』オフ会2023」での特別対談を元に、編集、加筆を行ったものです。

寺田有希(てらだ・ゆき)

1989年生まれ。大阪府出身。明治大学文学部文学科演劇学専攻卒業。2004年芸能界デビュー後、2012年芸能事務所との専属契約を終了して独立。2023年1月に約10年間務めた『ホリエモンチャンネル』のアシスタントMCを卒業。メンズファッションチャンネル『B.R.CHANNEL Fashion College』やオーデマ ピゲ『時計のはなし』などでMCを勤めるなど、多岐にわたり活動中。著書に、『対峙力』、2023年9月新刊『自分を変える話し方』(以上クロスメディア・パブリッシング)。

小早川幸一郎(こばやかわ・こういちろう)

クロスメディアグループ㈱代表取締役 出版社でのビジネス書編集者を経て、2005年に㈱クロスメディア・パブリッシングを設立。以後、編集力を武器に「メディアを通じて人と企業の成長に寄与する」というビジョンのもと、クロスメディアグループ㈱を設立。出版事業、マーケティング支援事業、アクティブヘルス事業を展開している。

―小早川さんは、普段から今回のような対談やイベントにご出演されることは多いのでしょうか。

小早川:私は出版業界でのイベント、例えば編集者や企業様に向けてのセミナーなどでは人前に出て話す機会があるんですが、それ以外では積極的に今回のような対談イベントに出ることは少なかったんです。

私は28年間、編集者として仕事をしているのですが、その役割として、著者の方を引き立てることを大切にしたいという想いがあります。なので、自分から表に出る必要はないかな、という考えがありましたね。しかし、最近は少しずつ、いろんなメディアを通じて自ら発信するようになってきています。

今、当社はベンチャー企業として成長している状況にあるので、より多くの方々に当社を知っていただく必要がでてきました。次の成長に向け、社長である私が表に出て、積極的にこういった対談やイベントでお話をさせていただいています。

自社のマーケティング、あるいはブランディングの面において、創業者である自分自身が、どのように動いていくことが、当社にとっての良い道筋になるのかと日々模索しています。

―中小企業やベンチャーのマーケティングやブランディングとして、社長が自ら表に出て発信するということはやはり重要なんですね。

小早川:企業規模や業界によってさまざまです。大企業を例にすると、テック系の企業であれば、テクノロジーの素晴らしさを伝えるため、ファッションブランドを持つアパレルの企業であれば、そのブランドの持つ世界観を伝えるために、広報を通じて発信しています。

しかし、私たちのような中小・ベンチャー企業の発信となると、創業者や経営者が、自らの想いと共に自社の企業価値を発信することが重要だと思っています。

編集者としては著者の方々をサポートしていくことが大切なので、あえて自分の考えなどを話して主張する必要はないという考えがありますね。

しかし経営者としては、積極的に表に出る必要があります。控えめだと、人材を採用するために、そしてビジネスを進めるためにも、私たちの魅力が皆さんに伝わりません。

会社や商品サービスの魅力、そして創業者としての考えを伝える行動をしていくこと。それが、組織と企業の成長を牽引していくと考えています。

―小早川さんは子供の頃から編集者を目指されていたんですか。

小早川:子供の頃は歴史や偉人伝などは読んでいましたが、読書が趣味だったわけでもなく、出版社やそこで働く編集者という存在すら知らなかったんです。本を読んだり勉強をすることより、クラブ活動でサッカーをして体を動かしたりすることの方が好きな子供でした。

ただ、高校時代は、ジャーナリストになりたいと漠然と思っていました。国際政治ジャーナリストのような、取材をしながら世界中を駆けまわりたい、そんな憧れをもっていたんです。

当時、学校の先生に「ジャーナリストになるにはどうしたらいいですか」と聞いたことがありました。そこで、「例えば新聞社に入って、何年か経験した後になれるかもしれない」と言われた記憶があります。

結果として今の仕事につながっているのですが、世の中で起こっていることを、自分の解釈を加えて伝える。または、ストレートに事実を伝える。いずれにしても、自分から情報を発信するという仕事に携わりたいという考えがあったんだと思います。

―出版社との出会いはどんなことだったのでしょうか。

小早川:私が出版社に興味を持ったのは、実はAppleのパソコンを大学の入学祝いで買ったことがきっかけなんです。1993年頃でした。ふと、「コンピューターを使って何か表現がしたい」と思ったんです。

その当時はパソコンのソフトウェアが高額だったりしたので、よりスペックが高いパソコンやソフトウェア、インターネットを自由に使うことができる環境はどこなのだろうと考えるようになりました。それが、出版社だったんです。

そして、私が19歳の頃、友人の紹介でコンピューターを先進的に活用しているビジネス書の出版社にアルバイトとして入りました。

今では当たり前かもしれませんが、その出版社の社員には、一人一台パソコンが貸与されていて、さらにそれぞれのパソコンがネットワークでつながっている。当時はそれだけで職場環境としても最先端でしたし、私にとってそれがとても魅力的に映りました。

しかし、アルバイトとして最初の仕事は、いろんな方に原稿を届けることなど、営業のサポート的な仕事が多く、それがどうも苦手でした。なかなかパソコンを使って仕事をする機会がなかったんですよね。

そんな中、1995年にMicrosoftからWindows 95が発売され、いよいよパソコンが一般にもどんどん普及するというタイミングがありました。それを受けて、働いていた出版社がコンピューター書部門を作ることになったんです。

その時、「小早川君はパソコンが使えるから、編集をやってみないか」と声を掛けていただいて、そこから一気に編集者の道へ進みました。

―28年間、編集者として生きてこられている。それくらい、編集者という仕事に魅力があるんですね。

小早川:編集のアルバイトをしていた大学生時代は、ほとんど大学へ行かずに、ずっと会社で仕事をしていました。

学生の頃って、若さゆえの悩みを誰もが持っていると思うんです。例えば、自分が世の中に必要とされているのか、とか。もちろん私もそうでした。

そんななか、編集者という仕事をしていて気づいたことがありました。それは、今の自分の仕事の先に待っていてくれている人(読者)がいるということ。つまり、自分は社会に必要とされているということです。そのことに20歳で気づいてよかったなと今でも思います。

編集者の仕事は、とてもやりがいのある仕事です。著者の方々がもつ情報という素材を調理しながら、コンテンツを作り続けることができる。常にネタの鮮度が良い状態の発信を続けていくことができるんです。

20歳で編集者としてスタートしてから48歳の今まで、毎月、書籍の原稿の締め切りがあります。書籍を作るということはとても大変な仕事なのですが、締め切りの先に誰かが待ってくれていると考えると、頑張ることができます。出版社や編集者の仕事って本当にいい仕事だな、と思いながらずっと続けています。

―10年間、出版社で働かれていたわけですが、どうして起業されたんでしょうか。

小早川:私が独立した当時は、ITのベンチャーとして起業する方が多かったんです。起業する前、自分と同じく20代で起業して活躍する方が多いなか、自分は彼らと何が違うんだろうと考えてみた時、自分も同様に起業できると思ったんです。

それは、私の親や親せきでも事業をしている人が多かったので、自分も事業ができるという自信もあったからでした。起業する理由は他にもありましたが、一番は「自分の人生のシナリオは自分で書きたい」という想いです。

―起業することに怖さはありませんでしたか?

小早川:起業することは、資本金と書類を用意すれば、実は誰でもできるんですよ。でも、継続することがとても難しいですね。

独立したのは29歳の時で、起業したのは30歳です。高校のサッカー部の同級生と、2人で創業しました。2人で創業前に話し合って、これからの時代はさまざまなコンテンツをデジタル化して、いろいろなメディアに展開していきたいと考えました。そこから「クロスメディア」という言葉が入った社名にしようと「クロスメディア・パブリッシング」を創業したのが現在の同社の始まりです。

この事業を続け、組織も成長してきています。そして皆様のお陰もあり、この10月で19期目に入りました。19年はあっという間です。

これからも、自分の成長を通じて会社を成長させ、会社の成長を通じて社会に貢献できるよう、目の前の仕事に取り組んでいきたいと思います。

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