幸せに生きるための「コピペ」。年長者が伝えるべき「スキル」とは。

コンテンツプロデューサー高瀬敦也×ビジネス書出版社代表小早川幸一郎

幸せに生きるためにはどうすればいいのか。「仕事」と合わせて考えれば、まずは結果を出すことが必要でしょう。生産性を上げるため、自分の技術を磨くため、さまざまな「スキル」が必要です。

しかし、世の中は日々変化し、ビジネスに必要なスキルもどんどんアップデートされます。その中で本当に必要なのは、自分で自分の幸せを定義し、その可能性を広げることです。

数々の有名テレビ番組を生み出した後、ジャンルを問わずヒットを作り続ける高瀬敦也氏は、「自分を幸せにできる方法をちゃんと考える人は少ない」と言います。その真意を、「ビジネススキルの本」を多数ヒットさせた小早川幸一郎が聞き出します。

※この記事は、2023年11月に配信された、クロスメディアグループの動画コンテンツ「ビジネスブックアカデミー」を元に文章化し、加筆・編集を行ったものです。

動画はこちら

髙瀬敦也(たかせ・あつや)

コンテンツプロデューサー、原作企画者、(株)ジェネレートワン代表取締役CEO
フジテレビ在職中「逃走中」「ヌメロン」「有吉の夏休み」などを企画。ゲーム化もプロデュースした「逃走中」は累計100万本を達成。「ヌメロンアプリ」は350万ダウンロードを記録。アニメブランド「ノイタミナ」を立ち上げ、「ノイタミナ」を命名。 独立後はYouTube、マンガ・絵本原作脚本など多分野でヒットコンテンツを企画。オリジナル家具ブランド「notos」の運営のほか、ボディチューニングブランド「DEMENSIONING」やソフトウェアプロダクション「POST URBAN」などを共同創業。また、多業種でコンサルティングを行っており、Twitterでの「伯方の塩 二代目声優オーディション」で広告効果10億円とも言われたバズを生み出した。現在15社以上で顧問・アドバイザーを務める。

小早川幸一郎(こばやかわ・こういちろう)

クロスメディアグループ(株)代表取締役
出版社でのビジネス書編集者を経て、2005年に(株)クロスメディア・パブリッシングを設立。以後、編集力を武器に「メディアを通じて人と企業の成長に寄与する」というビジョンのもと、クロスメディアグループ(株)を設立。出版事業、マーケティング支援事業、アクティブヘルス事業を展開中。

「ずっと使えるスキルって何だろう」

小早川 高瀬さんのご著書では、『人がうごくコンテンツのつくり方』と『企画』、そして今回3冊目になる『スキル』の編集をさせていただきました。1冊目と2冊目は高瀬さんの経験が反映されたクリエイティブ系の本でしたが、今回は新しい試みの本になりましたね。ビジネススキルと自己啓発をミックスした「自己啓発的実用書」のようなイメージです。

高瀬 「自己啓発的実用書」という表現はぴったりですね。僕も同じ感覚です。

本に書かれたことは、ずっと残ります。物理的に残るということだけではなく、読んだ人たちの心にしっかりと残る。心に残ることにはいろんな理由があると思いますが、内容をポジティブに変換しながら、自分の学びにするよう時間をかけて読むからだと思います。

結果的に、読者と著者のエンゲージメントが高くなりますよね。これまではビジネスのことを中心に書いてきましたが、自分の経験から得たものを直接的に残すことで、もっと読者のみなさんに対して貢献できるのではないかと思ったんです。僕の半生をギュッと凝縮して、美味しいところだけ持っていってもらう。そんな本ですね。

小早川 高瀬さんはテレビ番組から始まって、動画コンテンツに音楽、さらに家具やお酒もつくっています。今回で言えば本までつくる。何でもできる高瀬さんに、以前からスキルについて書いてもらいたいと思っていました。

高瀬 小早川さんに『スキル』という本にしようといわれたとき、疑問に思ったんです。僕にはそもそもスキルという概念がありませんでした。得意なことはあるし、いろんな経験を通してできるようになったこともたくさんありますが、それらを「スキル」として捉えてはいなかったんですね。

小早川  でも、本の中にはいろいろなスキルが書いてあります。それまで意識していなかったところから、どう考えたんでしょうか。本の冒頭には、「考え方をアップデートしたら、全部スキルになった」とあります。

高瀬 ビジネススキルの多くは、「ソフトウェアの使い方」のように、対処的なものですよね。しかし、新しいツールやデバイスが生まれ、ビジネスモデルもどんどんアップデートされていく中で、こうしたスキルはずっと使えるものではありません。新しく学び直さなければならないし、お金もかかります。

スキルをテーマに本を書くとなったとき、「ずっと使えるスキルって何だろう」「僕にはどんなスキルがあるんだろう」と考えました。唯一、「これはスキルと言えるかもしれない」と思ったものは、「ストレスの回避力」です。これを分解したのが、本に並んでいる項目です。

日々の生活の中で嫌なことや辛いことがあったときに、みんな何かしらの方法で対処しているわけです。今まではスキルだと認識していなかったけれど、考え方次第でスキルと捉えることができる。それを実践していくことで、周りの人から、「○○のスキルがありますよね」と評価してくれるということだと思います。

新しいものを生み出すための3つのスキル

小早川 新しいことにチャレンジしたり、新しいものを生み出したりするために、お勧めのスキルを教えてください。

高瀬 「自分時間を増やす力」「無所属力」「やりたいことを言う力」ですね。

まず、「自分時間を増やす力」は、自分の時間をいかにコントロールするかです。特に会社に入ってすぐの頃は、基本的に仕事をやらされる側で、自分で仕事を作れるわけでもありません。言われたことをやって、うまくいかなくて、怒られる。僕が若い頃も、その繰り返しの中でいかに自分の時間を担保するか、といったことを考えていました。

小早川 これは若い人に響きそうですね。

高瀬 次の「無所属力」というのは、会社を辞める、フリーランスになるというわけではなく、あくまで「個」として生きていくためのスキルです。よく言われることですが、何かに所属していること自体がアイデンティティになっている人もいます。組織の中にいたとしても外にいたとしても、「個」として生きているんだという認識に立つだけで、仕事のやり方が変わってきます。

小早川 それが結果的に、組織の中で信用されることに繋がるということですね。最後の「やりたいことを言う力」はどんなことでしょうか。

高瀬 自分がやりたいと思っていることを、とにかく言葉にするということです。人に話したり、SNSに書いたり、ただ「言う」だけでいいんです。やりたいことを口にすれば、周囲が興味関心を持って助けてくれるし、お金も集まって、仲間が増えて、社会的信用も増す。そうしてやりたいことを実現できる可能性が高まります。

僕の経験上も、やりたいことを言うようになってから、本当にたくさんの物事がスムーズに進むようになりました。いろんな人が助けてくれて、自分の力だけでやらなくていいんだということにも気づきました。

多くの人は、自分のやりたいことを言わないんですよね。言ったとしてもちゃんとした言葉にできていない。みんなが言わないから、自分が言うだけで差別化できるというところが一番大きいのかもしれません。

小早川 でも、ある程度結果を出さないと、やりたいことも言えないですよね。高瀬さんは会社員だった頃から、やりたいことを言えていたんでしょうか。

高瀬 若い頃は、もちろん言えませんでした。でも、意識的に言うようになってから、徐々に変わっていきました。少しずつでいいんだと思います。やる力がないと思われている人ほど、やりたいことを言ったほうがいい。それだけで変化を感じる楽しさがありますし、結果も付いてくるはずです。

自分が思う幸せに必要なことは何かを考える

小早川 この本の第3章のテーマは「身を守る」です、この内容が刺さっている人が多いようですね。

高瀬 スキルという言葉には、「攻めるため」「成長のため」といったように、前進するイメージがありますよね。守るというとネガティブなように思えますが、むしろとても大事なことなんです。

小早川 「馬鹿なフリ力」「寝る力」「スルーする力」……。この章に並ぶ項目の中でも、特に「逃げる力」が面白いと思います。いま、特に若い人たちの中には「逃げる力」を持っていない人が多いですよね。それで心身が追い詰められてしまうこともある。逃げる力をみんなに知ってほしいなと思います。

高瀬 そうですね。スキルとして捉えることで、逃げやすくなると思うんです。

小早川 いまは「逃げないで立ち向かえ」といった時代でもありませんよね。どうにもならなくなる前に、逃げるスキルも必要だと思います。とは言え、高瀬さんは、逃げないですよね。

高瀬 いや、逃げています(笑)。めちゃめちゃ逃げていますよ。

小早川  責任感が強いから、逃げていないように見えるのでしょうか。

高瀬 もちろん、一度責任を背負ってしまったら、最後までやります。でも、「これはやばい」「責任を背負わされるとまずい」という場合はいち早く察知して、責任を背負う前に逃げるんです。

小早川  なるほど。それは本に書いていないスキルですね(笑)。続く第4章は「自由になる」です。高瀬さんは自由に生きていくためにはどうすればいいのかを、ずっと追い求めているように感じます。

高瀬 そうですね。この章を書くことで、僕もそのことを再認識しました。みんな自由になりたいと思っていますよね。でも、自由になるための方法を本気で考えてはいません。もちろん100%自由になることは現実的ではありませんが、その中で最大限、自分の中で自由だなと感じられるように行動する。それを考えないのはもったいないと思います。みんな、もっと自由を目指してほしい。

小早川 これまでにあったスキル本は、目の前の仕事をどううまくやるかということ内容が大半でした。この本に書いてあることは、それも実現するけれど、人生をどう上手く生きていくか、豊かに生きていくかということにもつながる内容になっています。

あとがきに「あなただけに備わる『幸せになる力』という人生最高のスキル」という言葉があるように、幸せになるための人生スキルが身に付くんですね。

高瀬 幸せの定義は人それぞれですが、自分が思う幸せとは何かということを、ちゃんと考えている人はあまりいないのかもしれません。幸せのために必要なことは何だろうと考えて、そのためにどう立ち振る舞うか、どう時間を過ごすかが大事です。そのために僕が伝えられることがあればと思って書いたんです。

若い人たちには自分の知っていることだけを伝えればいい

小早川 『スキル』をたくさんの若い人が読んでくれていて、高瀬さんへのご質問もいただいています。その中で、「スキルの数と質は経験に比例するのか」という質問がありました。経験を重ねることでスキルが増え、質も良くなっていくのかということですね。この点ではどう思われるでしょうか。

高瀬  「鶏が先か卵が先か」みたいな話にもなりますが、経験が増えればスキルの数も増えますし、質も高まると思います。何か嫌な経験をすれば、二度と同じ思いをしたくないからと、いろいろ考えますよね。それがスキルになる。でも次回は必ず回避しようという意欲や思考がなければ、質は高まらないかもしれません。スキルを増やして質を高めていくコツがあるとすれば、嫌なことがあったときに、しっかりと「嫌だ!」感じることです。

小早川 編集者としてこの本を作りましたが、もし読者としてこの本をもっと若いときに読んでいたら、人生が変わっていただろうと思います。いまの若い人たちに読んでもらうことで、本人の仕事や人生が充実して、社会も豊かになっていくのではないでしょうか。

『スキル』にも、前回のご著書『人がうごくコンテンツのつくり方』にも、若い方たちは賢いし優秀だと書かれていました。私は経営者でもあり、つい「いまどきの若いもんは」というようなことを言ってしまいます。

高瀬 それも仕方ないですよね。いまの若い人たちも、10年、20年経ったら「今どきの若いもんは」って言うようになると思います。

ただ、考えてみれば、若い人たちのほうが優秀で当たり前なんです。人類の歴史を振り返れば、奴隷制度もあれば大量虐殺もあれば、打ち首、さらし首、今では考えられないことがたくさんありました。そこまでひどいことではなくても、昔は飛行機の中でタバコを吸うこともできたわけです。

そう考えれば、世の中はどんどん進化していて、みんな「いい人」になっています。年上の人たちよりも、若い人たちの方が、文化的人間として優れているということになります。

小早川 なるほど。私も考え方を変えないといけませんね。

高瀬 年長者は、ついつい余計な教えを落とし込んでしまうんですよね。若い人たちは、放っておいても育つ。というか、「育てる」という概念にそもそも違和感があります。

年長者が若者に対してすべきなのは、知っていることを教える、ただそれだけです。自分が生きてきた中で、「ここに地雷があるよ」「そっちの道を進むと沼地だよ」といったことを、もし知っているなら、教えてあげればいい。そのうえで、行くか行かないは本人の勝手にすればいいんです。

僕は、若い人たちに自分の知っていることだけを伝えればいいんだと思って『スキル』を書きました。読んだ人はどんどんコピペしてくれればいいと思います。そのスキルを使ってどう生きていくかは、本人次第です。

スキル

著者:高瀬敦也
定価:1738円(1580+税10%)
発行日:2023年10月1日
ISBN:9784295408789
ページ数:328ページ
サイズ:188×130(mm)
発行:クロスメディア・パブリッシング
発売:インプレス
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