小さな発想を核心的な武器にする。中卒社長が切り開いた成功への道筋

竹内 亢一(たけうち・こういち)

株式会社Suneight 代表取締役
1981年三重県伊勢市生まれ。幼少期から数学に長け、4桁×3桁の掛け算割り算は小学生のときにはすでに暗算で解けるほどの秀才だった。そこから中学はいわゆるヤンキー校へ進学。『モテたい・目立ちたい』が人一倍強く、奇抜さでの個性の表現を好む。自己の表現を音楽と決め、15歳で夢を追い単身上京。極貧の下済み時代を送るも、持ち前の目立ちたさで音楽で生計を立てれるまでに。2006年より動画制作を独学で開始し、2013年YouTubeマーケティング会社「Suneight」を設立。ビジネス系YouTuberの先駆けとして多くのクライアントを成功に導き、「令和の虎」にも出演。現在はタイに拠点を移し、ASEANナンバーワンを目指しながら、動画で世界を笑顔にする使命に情熱を傾ける。


ソーシャルメディアでの情報収集が主流となりつつある現代、様々なコンテンツがある中で、いま求められるのは、「知名度」。どんな素晴らしいブランディングも有名であることには勝てません。知名度は信頼感を生み、ブランドに唯一無二の価値を与えます。

SNS運用は、多くの企業にとって挑戦の対象です。企業が管理するアカウントは成長しにくいと考えられているからです。その理由は、独自性をどのように打ち出すかという点にあります。小さなアイデアを組み合わせることで、それが企業の強みに変わることがあります。現代だからこそ達成できる成功の道筋には、ユニークな発想力がありました。


「知名度」を上げることが唯一無二のブランディング

ブランディングや差別化は多くの企業が直面する重要な課題です。高品質な商品やサービスが数多く存在する中で、自社の製品の差別化をはっきりと可視化することは至難の業です。この問題は「知名度」によって解決します。

知名度とは、簡単に言えば、企業、ブランド、商品、人名などが広く知られている度合いです。知名度のあるブランドと無名のブランドで、全く同じものを売り出したら、知名度のあるブランドが圧倒的に売れます。みんなが知っている有名なブランドというだけで売り出す商品に信頼と独自性が生まれ、それは唯一無二の価値となります。

知名度を上げるために、SNSを活用する企業が増えています。最近では、TikTokで紹介された商品が瞬く間に人気となり、売り上げが急増する「TikTok売れ」ということも起こるように、SNSで検索をしてモノを買う人が多くなっているからです。

SNSのアカウントをフォローして、いつも見ている人から何かをおすすめされると、気になって買ってしまうということがあります。いつも見ているので親しみを感じますが、リアルの知人ではない。この、SNSの中の関係を僕は「準知人」と呼んでいます。

インフルエンサーはたくさんの人の準知人になりえます。いま、多くの企業が採用しているインフルエンサーマーケティングでも、知名度は売り上げに結びついています。例えば、YouTubeのチャンネル登録者数が100万人で100万再生をイコールだとした場合に、100万再生の人が1回投稿をするのと1万再生の人100人が投稿するのとだと、100万再生の人の方が売り上げや認知が格段に上がるのです。影響力を持っているのは、知名度が高い人です。

「共感」「あこがれ」「問題解決」で企業の魅力を伝える

近年、企業が抱える問題として相談が多いのが、採用活動、離職率の軽減についてです。これは知名度と「動画」によって解決することができます。

企業の案件を受け、アンケートの統計を見ていく中で、いま、就職先を選ぶときに「何をするか」より「誰と働くか」が重視されていると感じます。つまり、仕事の内容よりも職場環境の不一致が離職へとつながりやすいということです。このような問題は動画を使って「どういう人」と「どういう環境」で「どういう仕事」をするのかを見せていくことで、企業と求職者のカルチャーマッチのズレを解消できます。実際に僕の会社では「メンヘラ秘書」というSNSアカウントで社風を紹介し、採用活動をしていなくても応募者が増えています。

このとき、会社の紹介動画をただ投稿するだけではなく、「どう見せるか」が重要です。僕が大切にしているのは「共感」「あこがれ」「問題解決」です。例えば、「メンヘラ秘書」のチャンネルは強面の社長(僕)に社員がいたずらをするという設定です。洗濯バサミで耳を挟んだり、膝カックンをしたり、本当に誰もが経験したことがあるようないたずらです。

動画を見たユーザーに「これやったことある」とか「見たことある」と感じてもらうことが「共感です」。社長に対するいたずらが許される職場環境に「あこがれ」が生まれ。そして、社長との距離が近くて楽しそうという雰囲気を感じ、こんな会社で働きたいと思ってくれれば「問題解決」にもつながります。このチャンネルだけでなく、「共感」「あこがれ」「問題解決」の要素を常にコンテンツに入れています

クライアントにとって映像は、人材を確保すること、ブランディングを強化すること、売り上げを向上させることなど、特定の目標を達成するためのツールです。映像を見る側も自分の問題を解決したいという思いは同じです。映像を使ってどのように双方の目標を達成してもらうかを大切にしています。

「目立ちたい・モテたい」が、成功の原点

いまの時代、差別化には「知名度」が必要だと断言します。そして知名度を高めるツールとして動画はとても有効です。人にはそれぞれその人にしかわからないドラマがあります。ブランドやサービスには、それができるまでの想いがあります。社長や個人事業主の方は起業するに至った情熱やストーリーがあるでしょう。それを動画で表現することは、最強のブランディングになります。

僕は、中卒でビジュアル系バンドのギタリストを経て、いまは社長をしています。どうやってこの考えに至ったのか、そのストーリーを少しお話していきます。

僕の考え方のルーツは、幼いころから変わらない「目立ちたい、モテたい」ということです。幼稚園の頃から僕はガキ大将的な存在で、いつも輪の中心にいました。そんな僕が小学6年のとき、テレビでX JAPANを見て衝撃を受けました。「同じ人間でこんなに派手な人がいるんだ」という感動を覚えたんです。それが影響してか、中学校時代、僕は赤のモヒカンで、人と違う目立ち方をしていました。

中学卒業してすぐに音楽をしたいという一心で、ギターとカバン1つで東京に出ました。このとき、僕は15歳。一人で「音楽やりに東京行く」っていう一世一代のプレゼンを親にしたんだろうなと思っています。東京では当初、仕事が見つからず苦労しました。食費もなく、近くのパン屋さんで売っていた50円のパンの耳を主食にしていた時期もあります。

24歳のときに事務所に入ることができ、音楽活動の幅が広がりました。ちょうどこの時期、iTunesの登場によって、音楽がサブスクリプションサービスへと移行し、CDの売上が落ち始めていました。そこで、CDを売るための手段としてオフショット動画を編集して、CD購入の特典にしようと思いつき、1つのCDに対してAもBもCも特典があったら何枚もCD買ってもらえるという発想でいくつも動画を作りました。当時この発想は斬新でした。映像制作を自分で手がけた経験が、いまの仕事をするきっかけとなりました。

バンドは当時ビジュアル系という分野で、業界の人はみんな知っているというほどまでになりました。当時ジャパンカルチャーがヨーロッパで爆発的に人気となっていた波に乗り、いろいろな国のジャパンエキスポに呼ばれ、ヨーロッパツアーも3度経験しました。

バンドに人気が出た要因は、とにかく目立っていたからです。その中で感じたことは、どんなにいい曲を書いても知名度が無ければ売れないということです。もしも、僕たちの曲をGLAYやB’zがやっていたら、その曲はもっと売れていたでしょう。逆にGLAYの曲を僕たちがやっても、あそこまでは売れないんです。知名度のあるアーティストが演奏するからこそ、曲は売れる。そのことに気付き、僕のバンドは楽曲に力を入れるよりも、とにかく目立つこと、認知してもらうことを第一に考えて活動していました。

起業後初の依頼が『令和の虎』につながった

28歳で、バンドが解散になったとき、音楽以外にできることが映像制作だったので、映像制作会社に入ました。そこで、バンドのプロモーションビデオを制作していた経験を活かした映像の見せ方にこだわった動画が話題となり、個人での仕事が増えたことから独立を決意しました。

僕が会社を立ち上げた当初、映像制作には、パソコンと編集ツールをそろえるのに高額な投資が必要で、個人やフリーランスの参入は難しいものでした。それが時代と共に映像業界への低コスト参入が可能になり、映像制作会社が増え、価格競争が激化しました。その結果、1本50万円で受注できていた仕事が、突然10万円や15万円に値下がりしたんです。同じ映像でもフィールドを変えようと思ったときに、バンド活動で頻繁に利用していたYouTubeが真っ先に思い浮かびました。

当時、音楽を聴くにはCDを購入するかレンタルショップで借りるしかなく、たくさん聴こうとすると、それなりのお金がかかっていました。でも、YouTubeではインターネット料金を支払えば無限に音楽を楽しめます。僕が音楽に興味を持っていたのと同様に、お金をかけずに情報を得たいと考える人々が他にもいると思い、YouTube専門のマーケティング会社にシフトチェンジしたんです。

最初のクライアントは、『令和の虎』にも登場する武田塾の林さんでした。このとき、YouTubeを使っている企業はほとんどなく、配信するだけで目立つことができました。動画によって武田塾の売り上げはどんどん上がり、この成功を目の当たりにした周囲の人たちがYouTubeでの活動に関心を持ち始め、それを受けて、林さんが次々とクライアントを紹介してくれたんです。

2013年にYouTubeのマーケティング会社を始めてからの3、4年間は競合もなく、ほとんどの仕事が僕たちの会社に集まってきました。いま、たくさんのビジネス系YouTuberが動画を発信している中で、そのフォーマットは僕たちが作ったんだと感じています。

すべての経験が成功への道しるべとなる

2017、8年ごろからビジネス系YouTuberが増え、市場が盛り上がり始めたときに、初めて売り上げを伸ばすためのマーケティング戦略を練らなければならない状況になりました。

『マーケティングは統計学だ』とSuneightでは常々言っています。仮説を立てて実験し、うまくいかなければ次の仮説を試すというアプローチより、ビックデータから確率論で戦略を提案します。10年間YouTubeに携わっている僕たちだからこそ保有できているデータがあるんです。過去の事例をカンニングしながら独自の方程式で勝率の高い方法で知名度を上げていきます。

経営者としても、統計学は重要だと感じています。僕は事業の転換期には、人を9つの属性に分け、それに基づき運気を判断する九星気学という統計学を参考にしています。これは一種のゲン担ぎかもしれませんが、成功すると信じるマインドセットで取り組むことが、実際に成果をもたらすと感じています。もちろん、結果として失敗することもありますが、九星気学を通じて人の運勢の統計を参照することで、上手くいかなかったことへの気付きが生まれるんです。

さらに、成功の道筋で大切なものは人脈です。人脈は新しいインスピレーションを生み、仕事の幅が広がります。僕は「NO」と言わないようにしています。例えば、食事を済ませたばかりのときでも、快くその誘いに乗ります。夜に3回も食事をすることがあるほどです。その結果、体型が気になるし、運動はあまり得意ではありません。でも、フットサルに誘われれば「本当に僕を誘っているの?本当にやると思ってる?」と内心思いつつも、参加します。

普段からフットサルをするような人たちとは接点がないはずですが、参加することで新たな関係が生まれ、新しいシナジーを感じることができます。自分だけではできない発見やインスピレーションを得られ、知識が単なる足し算ではなく、掛け算に変わる瞬間があるんです。

経験や人脈は絶対将来に役立ちます。蓄積された体験は自分の中の方程式に組み込まれ、未来に影響を及ぼす因果関係を生み出します。「世の中に無駄なものはない」というのが、僕の座右の銘です。全ては何らかの形で繋がっているんです。

「動画」で世の中を笑顔にしていく

僕の社長としての目標は人を笑顔にし、喜ばせることです。ビジネス系の動画でも真面目な中にクスっと笑える要素を入れています。そして、動画を通じて世の中全体を活性化させたいと思っています。

SNSのアルゴリズムでは、良い反応も悪い反応も、ユーザーが何らかのアクションを起こすことが重要とされます。素晴らしい動画でも反応がなければ注目されにくく、否定的な反応でも多くの反響があれば拡散されやすい。例えば『令和の虎』はよく炎上します。炎上するとみんながいろいろなことを言うんです。

それは街中や電車の中、会社内や飲食店でも話題になる。もしかしたら、動画を見た日の夕方の居酒屋で、あの件って「ああだよね」「こうだよね」っていう会話が生まれるかもしれない。 そうなるといつもは2杯しか飲まないビールが3杯4杯と進み、日本の経済が回るんです。

それは小さな事かもしれませんが、そこでディベートすることによって人と人とが繋がり、新しいインスピレーションや発想が生まれます。ここで生じるエネルギーは、動画の知名度によって無限に広がっていく。僕は動画で世の中に大きな波を起こしたいと考えています。

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