〈シリーズ〉経営の中核を担うミッション・ビジョン・バリューvol.2 企業の実現する未来を示すビジョン


企業活動において、「ミッション」「ビジョン」「バリュー」は、羅針盤のように方向性を示す大切な要素です。これらを明確にすることで、企業活動を活性化できます。

しかし、その意味を正しく理解し、自社の未来と結びつけて考えることは容易ではありません。このコラムシリーズで「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の意義を知り、社内外に積極的に発信することで、企業の成長、発展につなげましょう。
ビジネスリーダー、起業家、そして企業を志すすべての人へ、持続可能な成長のヒントを提供します。


ビジョンは、企業の羅針盤として方向性を示し、社員のやる気を引き出す原動力です。明確なビジョンは、企業の存在意義を明確にし、社会的意義と持続的な成長をもたらします。時代の変化に合わせてビジョンを進化させ続けることが、経営者に求められる重要な資質です。
このコラムでは、ビジョンの意味や効果などについて解説します。ビジョンの力を理解し、活用することで、企業を新たなステージへと導きます。

明確なビジョンは大きな成果をもたらす

「ビジョン」。それは、企業活動において羅針盤のように方向性を示し、社員一人ひとりに活力を与える原動力です。しかし、漠然とした概念であるがゆえに、「ビジョンって一体何だろう?」「自社のビジョンって何だろう?」と疑問を抱く方も少なくないのではないでしょうか。

簡単に言えば、ビジョンとは「将来、会社がどうありたいか」という未来を描いたものです。売上目標や利益率といった具体的な数値目標とは異なり、5年後、10年後、あるいはもっと先の未来において、会社が社会の中でどのような存在でありたいのか、世の中をどう変えたいのか、顧客にどんな価値を提供したいのか、といった壮大なテーマを包含しています。

明確なビジョンは、企業活動のあらゆる場面で、目には見えないながらも確かな効果をもたらします。まず、企業の存在意義を明確にすることで、社員一人ひとりの意識を統一し、共通認識のもとで日々の業務に取り組むことができます。これは、組織の一体感や結束力を高め、企業全体のパフォーマンス向上につながります。

さらに、明確なビジョンは、社外に対しても強力なメッセージを発信します。顧客や取引先に対して、企業の目指す未来を明確に提示することで、信頼関係の構築を促進します。また、優秀な人材にとって、共感できるビジョンを掲げる企業は魅力的に映り、採用活動の成功にも貢献します。

このように、明確なビジョンは、企業の成長と発展に欠かせない要素と言えます。

社員のやる気と能力を最大限に引き出す

「なぜ、この会社で働くのか?」

給料や待遇が良い、職場環境が快適…もちろん、これらの要素も重要です。

しかし、本当に社員の心を掴み、やる気を引き出すのは、「この会社で働く意義」を感じられるかどうか、ではないでしょうか?

ここで重要になるのが、「ビジョン」です。社員一人ひとりが会社のビジョンに共感し、「自分たちの仕事が、ビジョンの実現につながっている」と感じることができれば、大きなモチベーションへとつながります。

例えば、「世界中の人々の生活を豊かにする」というビジョンを掲げる企業があるとします。
このビジョンに共感した社員は、自分の仕事が世界をより良い方向に変える力になると信じて、日々の業務に取り組むことができます。

困難な課題に直面したとしても、「ビジョンの実現のため」という強い気持ちがあれば、乗り越えることができるでしょう。
逆に、ビジョンが不明瞭な場合、社員は「何のために働いているのか?」という疑問を抱え、モチベーションやエンゲージメントは低下してしまいます。

「指示されたことだけをこなせばいい」
「自分の仕事が、会社にどんな影響を与えているのか分からない」

このような状態では、社員は自身の成長を実感できません。会社への愛着も薄れ、離職率の増加にもつながってしまうでしょう。ビジョンは、社員一人ひとりに「働く意義」を与え、やる気と能力を最大限に引き出す原動力となります。
社員が「この会社の一員であること」に誇りを持ち、情熱を持って仕事に取り組むことができる環境を作るために、ビジョンの力は欠かせないのです。

企業が持つ社会の一員としての責任

企業は利益を追求する存在であると同時に、社会の一員としての責任も担っています。
優れたビジョンは、この2つの側面を高い次元で両立させ、企業に大きな社会的意義と、持続的な成長をもたらす源泉となります。

社会にインパクトを与えるような、共感を呼ぶビジョンを持つ企業は、顧客、投資家、従業員、取引先など、さまざまなステークホルダーから高い支持を得ます。
結果として、企業価値向上、ブランド力向上、優秀な人材の獲得、競争優位の確立など、多くのメリットを享受できます。

例えば、地球環境問題への貢献を掲げる企業は、環境意識の高い消費者から支持を集め、製品やサービスの購入につながります。
また、社会貢献活動に積極的に取り組む企業は、従業員のモチベーションやエンゲージメントを高め、企業の成長を促進します。

このように、明確なビジョンを掲げ、社会とのつながりを意識することで、企業は単なる経済活動を超えた存在へと昇華します。
そして、社会に貢献しながら、自社の成長も実現する、持続可能なビジネスモデルを構築できるのです。

変化を恐れず進化し続ける

企業を取り巻く環境は、技術革新、グローバル化、社会構造の変化などにより、常に変化し続けています。
このような変化の激しい時代において、一度決めたビジョンに固執すると、市場のニーズや社会の要請から取り残されてしまう可能性があります。

したがって、経営者は時代の変化を敏感に察知し、ビジョンを進化させ続けることが求められます。
これは、現状維持に安住せず、常に挑戦を続ける姿勢と言い換えることもできます。
変化を恐れず、柔軟な発想でビジョンを進化させていくためには、ビジョンに対する強い信念、変化の兆候を捉える洞察力、そして周囲を巻き込み、新たな挑戦を促すリーダーシップが不可欠です。

また、過去の成功体験に囚われず、常に学び続ける謙虚さも重要です。過去の成功体験は、時に変化を阻害する要因にもなり得ます。

柔軟性と謙虚さを持ちながら、常に未来を見据え、ビジョンを進化させ続けること。
それが、不確実な時代を生き抜き、持続的な成長を実現する経営者に求められる、最も重要な資質と言えるでしょう。

関連記事

  1. 〈シリーズ〉「一つの道」を進み続けた偉人に、「極める」の価値を学ぶ v…

  2. 〈エイプリルフール特集〉世界を変えた嘘。壮大なビジョンを掲げ、ほら吹き…

  3. あなたの商品は感情で売れる!5つの心理テクニック

  4. <7月1日は資格チャレンジの日>月の初めに自身のキャリアを振り返…

  5. 〈エイプリルフール特集〉世界を変えた嘘。壮大なビジョンを掲げ、ほら吹き…

  6. <7月18日はネルソン・マンデラ国際デー>「虹の国」を目指した黒…

  7. 〈シリーズ〉「一つの道」を進み続けた偉人に、「極める」の価値を学ぶvo…

  8. 〈シリーズ〉リーダーシップの本質を紐解く:社会への挑戦を続けた女性たち…