〈シリーズ〉社会への挑戦を続けた女性たちが描く歴史:リーダーシップの本質を紐解くvol.6 マーガレット・サッチャー


「リーダーや管理職は男がなるもの」、そんな固定観念にとらわれている人はまだまだ多く存在しています。そして実際に現在に至るまで女性がリーダーになることは少なく、2022年の日本では管理的職業従事者のうち女性が占める割合は12.9%(令和5年版 男女共同参画白書より)です。

男性有利な社会に負けず、果敢にチャレンジを続け、結果を出す。いま求められるリーダー像のようですが、そうした女性たちは、歴史上に数多く存在します。彼女たちは、どのように周囲を引っ張り、活躍してきたのか。偉大な女性から学ぶリーダーシップを、このシリーズでは紹介していきます。


「鉄の女」の異名をもつ、第71代イギリス首相のマーガレット・サッチャー。
「ゆりかごから墓場まで」と言われた手厚い社会保障を削減、国有企業の民営化、経済に対する規制緩和など、サッチャリズムと呼ばれるさまざまな経済政策を推し進めました。その強硬で革新的な政治スタイルから称賛と批判を生んだ彼女は、鉄のように一貫した強い意志とリーダーシップを持っていました。

大胆な改革を推し進めた彼女の功績から、現代にも生かせるリーダーシップを紹介します。

ビジネスリーダーに必要な「不屈の精神」

マーガレット・サッチャーは、その強固な意志と決断力から「鉄の女」と呼ばれ、世界から注目を集めました。その不屈の精神は、ビジネスの世界でも重要な資質となります。特にリーダーとしての役割では、時に困難な決断を迫られる場面が頻繁に訪れます。そのような状況で求められるのは、困難な状況に柔軟に対応しつつ、一方で目的に向かって固い意志を持つことです。

決断力とは、多くの選択肢の中から最適な道を選び、それを断固として推進する力のことを指します。この力は、ビジネスの世界で成功を収めるために必要不可欠なものとなります。また、難しい決断をする際には、様々なリスクと直面しなければなりません。そのような状況でも、適切なビジネスストラテジーを立て、冷静に判断する力が求められます。

一方で、柔軟性というのは、変化に対応し、新たな状況に適応する能力のことを指します。変化の激しいビジネスの世界では、この柔軟性がなければ生き残ることは難しいでしょう。しかし、それだけでなく、固い意志も必要です。目的に向かって進むためには、困難な状況に直面しても、自身の信念を貫き、目標に向かって進み続ける強い意志が必要となります。

結局のところ、意志の強さとは、困難な状況に直面した時でも、自分の目標を見失わず、それに向かって前進し続ける力のことを指します。そして、その際に重要となるのが、柔軟性と固い意志のバランスです。このバランスが取れているとは、困難な状況に直面した時でも、柔軟に対応しつつ、自身の目標を見失わず、それに向かって前進し続けることができる状態を指します。

意志の強さは、ビジネスだけでなく、日々の生活や自己成長にも欠かせない要素です。それは、自分自身の価値観を持ち、自分の信じる道を進むという強さを意味します。そのため、意志の強さを持つことは、自己肯定感や自信を持つことにも繋がります。

以上のことから、彼女が「鉄の女」と称されたような意志の強さと決断力、そして柔軟性は、ビジネスを進める上で非常に重要な資質であると言えます。それは、自分自身の信念を貫き、自分の目標に向かって進み続ける力そのものです。それこそが、ビジネスの世界で成功を収めるための一歩となるのです。

サッチャーのリスクへの姿勢を学び、ビジネス戦略に活用しよう

マーガレット・サッチャーは、イギリスの首相として、経済状況を立て直すために一部の公共企業の民営化や規制緩和を推進しました。これは、一時的な経済混乱が起こるリスクを冒す行動でした。しかし、その結果は長期的な経済成長という大きな成果をもたらしました。
この事例は、ビジネスにおけるリスク管理の重要性を示しています。リスク管理は、事業活動に組み込まれた潜在的な問題に対する対策を立て、それを管理するプロセスです。リスクを適切に評価し、必要な対策を講じることで、組織の目標達成を支援します。

彼女の政策は、リスクを恐れず、逆にそれを機会と捉える視点を持っていました。ここには、リスクと機会のバランスを見極める洞察力と、リスクを取る勇気が必要です。この視点は、ビジネスにおけるリスク管理にも共通する考え方で、リスクを避けるだけでなく、それを活用して新たな価値を生み出す可能性を追求します。

また、リスクを管理するためには、そのリスクが引き起こす可能性のある問題を理解することが必要です。この点でもサッチャーの経済改革は、リスクを評価し、それがもたらす結果を予測する能力を持っていました。そして、それに対する対策として、公共企業の民営化や規制緩和という施策を実施しました。

彼女の経済改革は、リスクを冒してでも取り組むべきだと判断した政策でした。一時的な混乱を引き起こす可能性があるものの、その結果を見越して行動した思い切った決断は、ビジネスにおけるリスク管理の一例と言えます。

リスク管理は、ビジネスの成功にとって欠かせない要素です。彼女の経済政策は、そのリスク管理の重要性と、それを適切に行うことで得られる成果を示しています。

効率性を追求し競争力を上げる手法を学ぼう

効率性とは、目標を達成するために必要なリソースを最小限に抑えることを指します。ビジネスにおいては、人間の労力、予算、時間などがリソースとなります。多くの企業が効率化を追求する理由は、これらのリソースを節約することでコストを削減し、利益を最大化することにあります。

マーガレット・サッチャーは、イギリスの国有企業の民営化を推進し、その効果の一環として効率性を追求しました。彼女の考え方は、現代ビジネスにおいても有効であり、業務の効率化はいつでも求められています。

国有企業の民営化とは、国や地方公共団体が所有・運営している企業を、民間企業に譲渡または引き継がせることを指します。彼女の政権下では、これにより企業の競争力が向上し、サービスの品質も改善されました。また、競争が促進されることで、企業はより効率的な運営を追求せざるを得なくなりました。

この効率性の追求は、現代ビジネスにおいても重要なテーマとなっています。特にテクノロジーの進化により、業務のデジタル化や自動化が可能となり、劇的な効率化が期待できるようになりました。

例えば、データ分析を行うことで、業務のボトルネックを特定して、解消を図ることができます。また、AIやロボットを活用することで、人間が行っていた繰り返し作業を自動化し、人間の労力をより高度な業務に集中させることも可能となりました。ITインフラの最適化を進めることで、システムの統合やサーバーの最適化を行い、業務の効率化やコスト削減を実現することもできます。

効率化を進める上で欠かせないのが、パフォーマンスの測定です。KPI(Key Performance Indicators)を設定することで、目標達成度を定量的に測定し、その結果を元に改善策を考えることができます。

以上のように、彼女が推進した国有企業の民営化と効率性の追求は、現代ビジネスにおいても重要な教訓となります。効率化を追求することで、企業はより競争力を持つことができるだけでなく、サービスの品質向上や顧客満足度の向上にも繋がります。そのため、企業は常に効率性を追求し、そのための戦略を考えるべきです。

「持続可能性」は新たなビジネスチャンス

マーガレット・サッチャーは、イギリスの首相としての彼女のリーダーシップを通じて、ビジネスにおける多くの価値観を示してきました。その中で掲げたものの一つが「持続可能性」です。彼女の考え方は、現代ビジネスが掲げる持続可能性の理念と共鳴します。

持続可能性は、経済的な利益だけでなく、社会的・環境的な影響も考慮に入れるという考え方です。地球環境への配慮や、社会貢献活動などが、持続可能性な社会に向けての具体的な取り組みとしてあげられます。また、必要な資源を効率的に使用することや、地元の生産者をサポートするなど、全体の持続可能な成長を目指す視点も重要とされます。

この「持続可能性」の重要性を示し、気候変動問題に取り組み、環境を守るための方針を彼女は打ち出しました。これは、現代ビジネスが追求するエコフレンドリーな製品開発や、CO2排出量の削減など、環境負荷の低減に直結します。

さらに、彼女は経済的な持続可能性も念頭に置いていました。長期的な成長戦略を立て、資源の効率的な使用を推進しました。これは、ビジネスにおける経済的な持続可能性を追求する考え方と一致します。

このように、彼女の考え方は、現代ビジネスが目指す持続可能性と深く結びついています。ビジネスを進める上で、「持続可能性の重視」への彼女の姿勢は、私たちが学ぶべき重要な価値観と言えるでしょう。

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