【コラム】〈シリーズ〉企業の情報発信力がより一層求められる現代vol.2 広報・広告・PRの定義を考える


サービスの宣伝をしているのに新規顧客を獲得できない。採用情報を発信しているのに採用の応募がまったくこない。誰もが気軽に世界に向けて情報発信ができる時代。情報が溢れるなかで、自社について知ってもらうための発信は難しくなっています。

一方で、時代に合わせた情報発信をすることができれば、クライアント獲得、採用応募数増、ブランディング、さらには離職率の低下にもつながります。このシリーズでは、企業の情報発信力を向上させるための方法について考えます。


経営者の方や企業で広報業務を行う方はよく耳にする言葉であろう、広報・広告・PR。この3つの定義を明確に説明できない方は多いのではないでしょうか。
自社を広く知ってもらうことはとても大切です。そのために必要であり、似ているようで異なるこの3つは、企業を成長させていくうえで重要な手段です。

どういったことを企業としてアピールしていきたいか、その目的によって色々と手段も変わってくるのです。そのために意味の違いを理解し、状況に応じて使い分け、今後の業務に役立てられるようにしていきましょう。

情報発信のための広報・広告・PR 

広報、広告、PRは、企業や組織が情報を発信するための手段ですが、それぞれ目的や方法が異なります。

広報は、企業や組織が社会との良好な関係を構築・維持するために行う活動です。企業の方針や活動を伝え、理解を得ることを目的としています。具体的には、記者発表、ニュースリリース、社内報、CSR活動などがあります。広報は、直接的な販売促進ではなく、長期的な信頼関係の構築を重視します。

一方、広告は、商品やサービスの販売促進を目的とした情報発信です。テレビCM、新聞・雑誌広告、ウェブバナー広告など、媒体を通じて不特定多数の人々に訴求します。広告は、商品の特徴や利点を強調し、購買意欲を喚起することを目指します。

PRは、メディアを通じて企業や商品の評判を高める活動です。メディアやSNSなどのスペースを利用し、第三者の視点から情報を発信します。PRは、広告のように直接的な販売促進ではありません。

このように、広報、広告、PRは、目的や方法が異なりますが、いずれも企業や組織にとって重要な情報発信の手段です。近年は、デジタル技術の発展により、これらの境界が曖昧になりつつあります。例えば、企業のソーシャルメディア運用は、広報、広告、PRの要素を兼ね備えています。今後は、これらを効果的に組み合わせ、統合的なコミュニケーション戦略を立てることが求められるでしょう。

自社のイメージアップにつながる広報活動

企業にとって広報活動は、自社の存在価値や活動内容を社会に伝え、ステークホルダー(利害関係者)との良好な関係を構築するために欠かせません。広報活動を通じて、企業は自社のブランドイメージを向上させ、信頼や支持を獲得することができるのです。

具体的には、広報活動によって、自社の製品やサービスの認知度を高め、売上の拡大につなげることができます。また、危機管理の観点からも、広報活動は重要な役割を果たします。企業不祥事や事故、災害などの緊急事態が発生した際、迅速かつ適切な情報開示を行うことで、ステークホルダーからの理解と信頼を得ることができるのです。

さらに、優秀な人材の確保や、投資家との良好な関係構築にも、広報活動は貢献します。企業の魅力を効果的に伝えることで、就職希望者や投資家の関心を集め、企業価値の向上につなげることができるのです。

このように、広報活動は企業の持続的な成長と発展に不可欠な要素といえます。戦略的な広報活動を展開することで、企業は社会からの信頼と支持を獲得し、長期的な成功を実現することができるのです。

広報担当者は多種多様なスキルが求められる

広報担当者は、企業や組織の顔として、社会とのコミュニケーションを担う重要な役割を果たします。そのため、広報担当者には様々なスキルが求められます。

まず、優れたコミュニケーション能力が不可欠です。メディアとの良好な関係を築き、適切な情報発信を行うためには、明確かつ説得力のある言葉で伝えるスキルが必要です。また、社内の様々な部署と連携し、情報を収集・整理する能力も求められます。

次に、戦略的思考力が重要です。広報活動は、企業の経営戦略と密接に関わっています。企業のビジョンや目標を理解し、それに沿った広報戦略を立案・実行できる能力が求められます。また、社会の動向や世論の変化を敏感に察知し、柔軟に対応できる判断力も必要です。

さらに、危機管理能力も広報担当者に求められるスキルの一つです。企業や組織が直面する様々な危機的状況において、適切な情報発信や対応を行うことが求められます。冷静な判断力と迅速な行動力、そしてステークホルダーとの円滑なコミュニケーションが危機管理には欠かせません。

加えて、デジタルスキルも重要性を増しています。ソーシャルメディアの活用や、オンラインでの情報発信など、デジタル時代に対応した広報活動を展開するためには、デジタルツールに関する知識と活用能力が求められます。

時代と共に移り変わる広告の手段

広告は、商品やサービスの情報を消費者に伝え、購買行動を促進するためのコミュニケーション手段です。その起源は古く、紀元前の時代にまで遡ることができます。当時は大声で商品の宣伝をおこなったり、象形文字を刷った煉瓦から始まりました。

産業革命以降、大量生産・大量消費社会の到来とともに、広告は重要な役割を担うようになりました。19世紀後半には、新聞や雑誌といった大衆メディアの発達により、広告が紙面に登場するようになります。印刷技術の向上により、視覚的に訴求力のある広告が可能となったのです。

20世紀に入ると、ラジオやテレビといった電波メディアの登場により、広告は新たな展開を見せました。音声や映像を通じて、より効果的に商品の魅力を伝えることができるようになったのです。また、大量生産により商品の種類が増加し、企業間の競争が激化したことで、広告の重要性はさらに高まりました。

現代社会において、広告は私たちの生活に深く浸透しています。インターネットの普及により、オンライン広告が新たな広告媒体として台頭しました。検索連動型広告や、ソーシャルメディア上の広告など、より個人の興味・関心に合わせたターゲティング広告が可能となっています。

広告は、社会の変化とともに進化を遂げてきました。今後も、技術の発展や消費者ニーズの変化に対応しながら、新たな形態の広告が生み出されていくことでしょう。

広報・広告・PRの未来を予測する

広報、広告、PRの領域は、テクノロジーの急速な発展により、大きな変革期を迎えています。今後は、AIやビッグデータ、VRなどのデジタル技術が、これらの分野に革新的な変化をもたらすと予測されます。

例えば、AIを活用したデータ分析により、ターゲットとなる消費者の嗜好やニーズを詳細に把握することが可能になります。これにより、広告はよりパーソナライズされたものになり、個々の消費者に最適化された情報を提供できるようになるでしょう。

また、VRやARなどの没入型技術の発展により、広告はより体験型のものになっていくと考えられます。消費者は、仮想空間内で商品を試用したり、サービスを疑似体験したりすることができるようになります。こうした没入型広告は、消費者の購買意欲を大きく喚起することが期待されます。

一方、PRの分野では、インフルエンサーマーケティングがさらに重要性を増していくでしょう。SNSの普及により、個人の発信力が強まる中、企業はインフルエンサーとの協業を通じて、商品やサービスの魅力を効果的に伝えていくことが求められます。また、バーチャルインフルエンサーなど、AIを活用した新たなPR手法の登場も予測されます。

広報の領域でも、AIを活用した自動記事生成や、ソーシャルリスニングによる世論の動向分析など、新たなテクノロジーの活用が進むと考えられます。また、グローバル化の進展により、多言語での情報発信や、異文化コミュニケーションへの対応がより重要になってくるでしょう。

ただし、こうしたテクノロジーの活用は、あくまでもツールであり、本質はあくまで人間のコミュニケーション能力にあることを忘れてはなりません。広報と広告、PRのプロフェッショナルには、高度なデジタルスキルと同時に、創造力や共感力、倫理観など、人間ならではの能力がこれまで以上に求められるようになるでしょう。

未来の広報・広告・PRは、テクノロジーと人間の能力を掛け合わせることで、これまでにない革新的なコミュニケーションを生み出していくことが期待されます。企業には、こうした変化を先取りし、新たな時代のコミュニケーションをデザインしていく創造力が問われているのです。

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