サービスの宣伝をしているのに新規顧客を獲得できない。採用情報を発信しているのに採用の応募がまったくこない。誰もが気軽に世界に向けて情報発信ができる時代。情報が溢れるなかで、自社について知ってもらうための発信は難しくなっています。
一方で、時代に合わせた情報発信をすることができれば、クライアント獲得、採用応募数増、ブランディング、さらには離職率の低下にもつながります。このシリーズでは、企業の情報発信力を向上させるための方法について考えます。
SNSが普及した現代では、企業ブランディングの新たな潮流が生まれています。
従来の広告や公式アカウントからの一方的な情報発信ではなく、社員一人ひとりがSNSを通じてリアルな職場体験や商品の魅力を発信することで、企業と消費者の距離が格段に縮まっています。このパーソナルなアプローチは、企業に新たな信頼と親近感をもたらし、結果的にブランドの認知度向上や売上げアップに直結しています。
社員の声が企業の最強の広告となり得る時代、その戦略的な活用方法について、このコラムでは、企業が直面する新しい課題への切り札として、社員による情報発信の力を解き明かします。
企業ブランディングに効果的な社員個人のSNS発信
従来は企業の顔として組織がオフィシャルな情報発信をする方法しかありませんでした。しかし今日では、社員一人ひとりが情報を発信することも多くなりました。
社員によるSNS発信は、企業ブランディングに大きな影響を与えます。社員が自身の言葉で、等身大の会社の様子や仕事のやりがいを発信することで、親近感と信頼感が生まれます。
これは、従来の広告よりも共感を呼び、企業イメージや商品・サービスへの理解を深める効果があります。
例えば、ある社員が、職場環境の素晴らしさや、仕事への情熱をSNSで発信したとします。
すると、それを見た人が「この会社は、社員を大切にする、働きがいのある会社なんだな」という印象を抱きます。さらに、その社員が開発に携わった商品について発信すれば、「この商品は、社員が自信を持っておすすめするものなんだ」と、商品の魅力がより一層伝わります。
また、社員のフォロワーを通して、企業アカウントだけではリーチできない層へ情報を届けることもできます。
多様な価値観を持つ社員が発信することで、より広範囲のターゲットにアプローチできます。
このように、社員一人ひとりの情報発信が、企業のブランドイメージを構築し、商品やサービスの認知度向上、ひいては売上アップにも貢献します。社員による情報発信は、企業にとって無視できない重要な要素と言えるでしょう。
Podcast配信が企業の認知度向上に貢献する
「うちの会社、何やってる会社かよくわからないんだよね」。
耳が痛くなる言葉です。働き方が多様化する現代において、企業は、従来の広告や広報活動だけでは、認知度向上やブランドイメージの構築が難しくなっています。
そこで注目されているのが、社員による情報発信です。社員一人ひとりが自社の顔となり、自身の言葉で会社や事業、働き方について発信することで、よりパーソナルで共感を呼びやすい情報発信が可能になります。
中でも注目されているのが、音声メディア「Podcast」を活用した情報発信です。Podcastは、通勤時間や家事の合間など、隙間時間に気軽に視聴できる点や、話者の熱量や人柄が伝わりやすい点が特徴です。
社員によるPodcast配信は、企業にとって以下のようなメリットがあります。
低コストで始められる:特別な機材や編集技術がなくても、スマートフォンとマイクさえあれば気軽に始められます。
ターゲットにリーチしやすい:Podcastのリスナーは、特定の分野に関心の高い層が多い傾向があり、自社のターゲット層へダイレクトに情報を届けられます。
親近感を与えやすい:社員の人柄や想いが伝わりやすく、企業に対して親近感を持ってもらいやすいです。
社員が自社の顔となり、情報を発信していく。
Podcastは、企業の認知度向上、ひいては企業成長に大きく貢献する可能性を秘めているでしょう。
実名性の高いFacebookでの発信はリアルな姿を伝える
企業活動において、今やWebサイトやパンフレットだけでは伝えきれない企業の個性を表現する上で、社員一人ひとりの情報発信が重要性を増しています。中でもFacebookは、実名性の高いSNSとして、社員の日常や仕事への想いを発信する場として活用されています。
社員によるFacebook投稿は、企業の理念やビジョンを体現する役割を担います。例えば、お客様との心温まるエピソードや、社会貢献活動への取り組みを共有することで、企業の人間味あふれる一面を伝えることができます。また、社員同士が互いの投稿にコメントし合うことで、社内の雰囲気や一体感を伝えることも可能です。
Facebook投稿で特に注目すべき点は、社員の言葉で語られる生の声です。企業が発信する公式情報とは異なり、社員自身の言葉で語られるからこそ伝わるリアルな姿があります。共感や親近感を抱いたユーザーが、企業のファンになることも少なくありません。
さらに、社員の個性豊かな投稿は、企業の多様性をアピールする効果もあります。様々なバックグラウンドを持つ社員がそれぞれの視点で情報を発信することで、企業の魅力を多角的に伝えることができます。これは、画一的になりがちな企業イメージを払拭し、より人間味あふれる企業として認識されることに繋がります。
企業にとって、社員によるFacebook投稿は、単なる情報発信ツールとしてだけでなく、企業理念を体現し、共感を生み出し、多様性をアピールする重要な役割を担っています。
企業の専門性アピールに繋がるnote発信
ビジネスの世界において、企業の専門性を効果的にアピールすることは、顧客からの信頼獲得や競争優位性を築く上で非常に重要です。従来型の広告やPR活動に加え、近年注目されているのが、社員による個人のnote発信を活用した情報発信です。
noteは、文章や画像、音声など様々な形式で情報を発信できるプラットフォームです。ブログと比較して、専門性の高い内容や個人的な見解を共有しやすい点が特徴です。企業はこのnoteの特性を活かし、社員一人ひとりの専門知識や経験に基づいた情報を発信することで、企業全体の専門性アピールに繋げることができます。
また、noteは検索エンジンからのアクセスも見込めるため、潜在顧客へのリーチ拡大にも効果が期待できます。企業のWebサイトだけでは伝えきれない、より深い情報を発信することで、顧客との新たな接点を創出することに繋がります。
さらに、社員が自身の言葉で情報を発信することで、企業の顔が見える情報発信が可能になります。これは、顧客との距離を縮め、親近感を与える効果も期待できます。
企業は、社員のnote発信を促進することで、専門性アピール、潜在顧客へのリーチ拡大、顧客とのエンゲージメント強化といった様々なメリットを得ることができます。
広報と連携する発信方法のベストプラクティス
社員による情報発信は、企業にとって大きなメリットをもたらします。
しかしながら、個々の社員に任せてしまうと、情報の一貫性が保てなかったり、炎上リスクが生じたりする可能性も孕んでいます。
そこで重要となるのが、広報部門と連携した情報発信体制の構築です。広報部門は、社員による情報発信を効果的に行うための、戦略立案やサポート、リスク管理などを担当する必要があります。
具体的には、以下のような活動が考えられます。
ガイドラインの策定:情報発信の内容や方法、注意点などをまとめたガイドラインを策定し、社員に周知します。
研修の実施:効果的な情報発信の方法や、炎上対策などを学べる研修を社員向けに実施します。
ツールやフォーマットの提供:情報発信に活用できるツールや、記事作成のフォーマットなどを提供します。
効果測定とフィードバック:情報発信の効果を測定し、社員にフィードバックすることで、更なる改善を促します。
また、社員が情報発信しやすい環境作りも重要です。例えば、社内SNSや情報共有ツールを活用し、社員同士が積極的にコミュニケーションを取り合える環境を整えたり、優れた情報発信を行った社員を表彰する制度を設けたりするなどの取り組みが考えられます。
広報部門と社員が協力し、安全かつ効果的な情報発信体制を構築することで、企業は、認知度向上、ブランドイメージ向上、採用活動の強化、顧客とのエンゲージメント強化など、多くのメリットを享受することができます。
社員一人ひとりが、企業のスポークスパーソンとしての意識を持ち、広報部門と連携しながら情報発信に取り組むことが、これからの時代における企業の成長には欠かせない要素となるでしょう。